私が博士を取得するまでの紆余曲折を記事として残しておきます.
以前,別のブログで記事として書いた内容ですが,そちらのブログを閉鎖したのでこちらに移行するつもりです.一気には大変なので少しずつ移行します.
目次はこちらです↓
2. アカハラ
新任の助手の先生は,一種独特の風貌で通常の大学教員とはかなり異質なものを感じた.だけど,その異質さは見た目だけではなかった.
自分の気に入らない学生に対しては,暴力的な言葉を吐いた.今の時代で言えば,立派なアカハラ,パワハラである.
私は彼に嫌われていたので,「殺すぞ」と何度言われたか覚えていない.一方,可愛がっていた学生に対しては誕生日にケーキを買ってきたりなど,態度の豹変ぶりが著しかった.
なぜ彼は私を嫌っていたのか?
当時は全く分からなかった.彼に盾ついたこともないし,口論したこともない.研究室にも顔を出していたのでサボっていたわけでもない.確かに研究に関しては先生方の期待ほど進んでいなかったのは事実だが,それは何も私だけではない.
だけど,今にして思えばよく分かる.
気に入られていた学生たちは,今風に言えば「コミュニケーション能力」が高く,彼に対してリスペクトした質問を,わざとらしくいつもしていた.もちろん,彼だっていつも答えられるわけではないが,まいったなと言いながらもとても嬉しそうにしていたのを覚えている.
つまり,仲良くしようと擦り寄っていくのが上手かったのである.
一方,私は彼に一切質問も相談もしなかった.さらに悪い事に,私のやっていた研究内容のかなりの部分が助手の先生の専門に近かった.だから彼からすると,まず自分に相談するのがスジだと思っていたに違いない.自分のことを頼ってこないのは,私が彼の実力を認めていないからだと思ったのだろう.
もちろん,私はそのようなことは全く思っていなかった.彼のことが苦手で話しかけたくなかった.理由はただそれだけだ.だけど「殺すぞ」などと言われると,苦手を通り越して嫌悪感が生まれてくるのも当然だ.
当時はアカハラなんて言葉はなかったし,鬼軍曹のような助手は半ば公然と認められるような雰囲気が学内にあった.
「そういう厳しい試練も必要なことだ」
と周りの先生方もそう考えているようなフシがあった.
そういえば,昨年だったか,高圧的な言葉を吐いたとかでクビになった国立大の学長がいたけど,それだって問題になったのは職員に対する発言だ.もし学生に対する発言だったら,もっと大きな問題だ.今の時代では到底考えられない.
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